私の本棚
あかね空
作者の山本一力氏を知ったのは、氏がNHKのある番組で池波正太郎作品について語っているのを見かけた折だ。私は以前より池波正太郎のファンであるが、池波作品の登場人物と、その食べ物について生き生きと語るこの人は、いったい誰じゃらほい、と思って見ていると、テロップに氏の名前が流れた。今回、杭州・中国に出張するにあたり、氏の代表作である「あかね空」に同行願った。
おもろい。徳川十代将軍家治の頃、作品は幕を開ける。冒頭で、京より下ってきた主人公の永吉が京風豆腐屋を開くために後に妻になるおふみ一家も住む深川の長屋に借家したあたりで、これはいける、と見極めた。永吉の拵える絹ごし豆腐には、選りすぐりの大豆の甘みと香りが漂う。箸の先ほどの生姜とひとたらしの醤油で食べてみたい。
作品の中盤で歴史小説としてはタイムシフトや視点のシフトがなんだか激しすぎるように感じたが、実はここがこの物語の要点なのであった。
親の心、子知らずという。タイムシフト・視点シフトによって初めて見えてくるビューが有る。
2005-06-12_23:21-tyada
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